Naoki Iwao
岩男直樹
都会は鵺(ぬえ)である。その姿をだれも知らない。静かに身をひそめ、ときに猛(たけ)る。
街はだれのものなのか。街の意志はどこへ向かうのか。ネオンサインや嬌声に昂ぶり彷徨(さまよ)いつづける私は、たしかにその細胞のひとつである。いずれは朽ち果て霧散するものである。
しかし私は記憶する眼をもつ。あえかに焼き付く街の残像は、己の生の証であり喜びとなる。私は街を歩きレンズを通して、無数に蠢(うごめ)く魂を夢想のなかで抱きしめる。その流れ去る体温に冷めた唇をあてながら。
福岡県出身。大学卒業後、会社員、出版編集者、フリーランスと渡り歩く。文章や音楽制作を通じて表現を模索してきたが、数年前からその手段を写真へと転換させる。
現在、「トーキョー・ブルース ~Tokyo Blues~」 を冠して、東京の人と街を撮り続けている。
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